仏教のエピソードです。

 

夏の暑い日に、お百姓さんが畑仕事に精を出していました。

それでなくても暑いのに、土を耕す重労働なのですが、汗が噴き出して

きてしょうがありません。空を見上げると、夏の太陽がカンカンに

照りつけています。

ふと、お百姓さんは、向こうに白い雲が浮かんでいるのが目に入りました。

風向きで、こちらに向かって流れてきている様子です。

「あの雲が自分の頭の上に来てくれたら、太陽の日をさえぎってくれて

涼しくなるだろう」と考えました。そして、「雲よ、早くこっちへ来い」と、

祈るような気持ちで雲を眺めていました。

しかし、雲はなかなか近づいてきません。お百姓さんはイライラしてきました。

しかし、結局はあきらめて、畑を耕す仕事に戻りました。

我を忘れて仕事に没頭していると、いつの間にか先ほどの雲が頭の上に

やってきているのに気付きました。

 

私は、このエピソードが教えてくれることをこんなふうに理解しています。

 

人は人生において「こうなって欲しい」という夢を持つと思います。

 

しかし、「夢が早くかなって欲しい」と思っても、夢が実現するときは

 

なかなかおとずれてくれません。気持ちが萎えたりイライラしてきます。

 

夢を持つことは素晴らしいことだ。でも、その夢というのは簡単にはかなわないし

 

早く実現しようとあせったり、急いてはいけない。心が乱れるだけだ。

 

今やるべきことに一生懸命従事すれば、夢は向こうから近づいてきて、いつに間にか

 

気が付いた時には夢がかなっているものだ。

 

ということをこのエピソードは教えてくれているのではないでしょうか。

 

毎日、毎日たんたんと一生懸命に努力していくことが、夢をかなえることに

 

つながる。毎日努力しているか。一生懸命働いているか。

 

自分自身に問い続けなければ、夢は実現できません!!

宏和苑 施設長